FIT(電力固定価格買取制度)の終了に伴うソーラー蓄電システムへの変更について

ソーラー蓄電システムの分散と用意すべき蓄電バッテリーの容量について

「合理的な自家消費型ソーラー蓄電システムへの変更のポイント」のページで解説したとおり、よほどの事情がない限り、一般家庭では、概ね1,000W規模におけるソーラー蓄電システムへの移行が合理的かつ経済的であることは、何となく理解いただけたと思います。

当店【蓄電システム.com】の約7,000名の会員様(令和元年8月現在)が、どれくらいの割合で売電システムをお持ちなのか実数は不明ですが、概ね10%程度の方々が、独立したソーラー蓄電システムと併用して、わが国のエネルギー政策に寄与されていると思います。

このページを興味深く読んでいただいている方は、間違いなくFIT契約(電力固定価格買取制度)を終了する方、または終了間近で、「さて今後どうしよう?」ということに違いありません。

これまで10年間運用してきた売電システムには、「致命的な欠陥」があり、それは夜間に停電した場合電力の供給はできず、翌朝の好天を祈りつつ、日の出を待つしかなかったことに尽きるはずです。

太陽とソーラーパネルのイメージ画像です

注)※もちろん、蓄電側バッテリーがなかったためですが、売電システムに蓄電側バッテリーを付属させてしまうと、そもそも大変に高価なシステム1式価格がさらに上がり、現実離れした超高価なシステムになってしまうからというのが本当の理由です。

さて、実際に「さて今後どうしよう?」と思ったところで、電気音痴のみなさま方には妙案浮かばず、何をどうすれば夜間にも一定の電力が使え、たとえ安価になったとしても日中の余剰分は売電を継続しつつシステムの変更ができるのか、きっと今すぐに知りたいと思っているはずです。

今後始まる大手電力会社の提供する「電力預かりサービス」の盲点について

わが国既存の大手電力会社からは、令和元年7月に入って、ようやくFIT終了後の新買取価格が出揃いましたが、長く独立型のソーラー蓄電システムを販売してきた【蓄電システム.com】としましては、その買取価格の合理性はもちろんのこと、また合わせて発表された「再エネおあずかりサービス」(※東京電力のサービス呼称です)の検証を行いました。

まず、閲覧者みなさまに大事な数字として理解いただきたいのは、現在の電力の購入価格です。

お手元にある、電力会社から投函された料金明細を見れば確認できますが、当店(東京電力)に届いている明細書によると、基本料金や段階料金は無視して、単純に計算すると「電気料金(円)÷使用電力量(kwh)=約30円(kwh)」であることがわかります。

電気料金(円)÷使用電力量(kwh)=約30円(kwh)

このページでは、この数字をもとに解説していきます。

本題に入りますが、この電力預かりサービスは、電力会社が蓄電池を利用して、実際に物理的に預かるのではないということであって、大手他社では「仮想預かりサービス」というようなサービス名になるそうです。

そして問題なのは、東京電力では契約書面の締結をして「別途サービス料金を取って」(月額4,000円)サービスを開始する点です。

詳しくは、以下東京電力のホームページをご覧ください。

http://www.tepco.co.jp/ep/renewable_energy/plan.html#plan02

東京電力のお預かりサービスのイメージ画像です

「預かり」という文言のあるなしについては論難するつもりはありませんが、上記ホームページにあるように「上限250kwh」までしか仮想的に預かってもらうことはできません。

要するに、「4,000円支払って上限250kwh」ということは、電力会社から普通に買電したとしても、この250kwhは「250kwh×30円=7,500円」で買えるのですから、実際に得をしたように見える金額は「7,500円−4,000円=3,500円」でしかありません。

東京電力のホームページにも記載がありますが、仮に1か月間に「100kwh」しか預かってもらえなかった場合には、

100kwh×30円=3,000円でしかなく、4,000円のサービス料金の方が高くなってしまいます。(※すなわち「赤字契約」となります)

どこまでも電力会社が「絶対に損をしない契約」となることは、たとえ電気音痴のみなさまでも理解できると思いますが、実はここにも大きな落とし穴があります。

売電システムを10年間続けてきた方なら、きっとご存じのはずですが、売電システム(余剰売電システム)には「売電抑制機能」があり、近隣の電気需要が少なく電線に流れる電圧が高いときは、せっかくソーラーパネルが発電していても、電線側に逆潮流させてもらえず売電が抑制(売電できていない時間帯がある)されています。

すなわち、「売電できていない」ということは「預かってもらえないことがある」という意味であり、本当に上限まで定めてある250kwhまで、果たして1か月間に売電抑制機能の働く回数が何回あるかという点について、当店では大きな疑問をもっています。

変動要素として、お隣や向いにお住いの方が、新規に売電契約を開始すれば、近隣によほどの電気需要家の存在(マンションや大きな工場等)がなければ「売電抑制」がかかる可能性もあります。

もちろん、このサービスはまだ開始されていませんが、「最大でも3,500円相当の電気代を節約するための契約」としては、どうも盲点だらけ、説明不足の感が否めません。

「電力預かりサービス」について正しく理解しておきましょう

さて、「今後どうしよう?」から、ここまで読んでいただいても、それでもわからないことばかりだと思います。

ここまでは、大手電力会社が「仮想的」に預かってくれるという「250kwh」という数字となる電力量だけの説明になっていましたが、実際にその250kwhという電力量がどれくらいの容量になるのか、まずは可視化して、同時に電力会社の思惑についても、あわせて考えてみたいと思います。

この「250kwh」とは、当然のことながらみなさまの屋根に設置したソーラーパネルで発電した電力量を指しますが、電力会社ではその電力をリアルタイムで「8.5円で買い、同時に近隣需要家に30円で販売する」のです。(この利ザヤは21.5円/kwhにもなります)

すなわち、みなさまが売電してくれればしてくれるほどに儲かる仕組みとなっていて、それでも余った電気を「上限250kwhとして」、本当は黙って返してくれれば正義のサービスと言えるでしょうが、預かりサービスと称して、さらに4,000円も課金しようということなのです。

※これを「正義ある商売」といえるでしょうか?
※俗に言い換えれば「素人だまし」とも言えます。

東京電力の「電力預かりサービス」では、毎月4,000円課金されるというイメージ画像です

長く独立型のソーラー蓄電システムを安価に提供してきた当店としては、あまりにも国民を愚弄したサービスとして映っており、今後のわが国のエネルギー政策として寄与するどころか、公共性ある電力供給サービスの独占的な悪徳性を感じるばかりです。

また、4,000Wクラスのソーラー売電システムでは、あくまでも平均値になりますが、1か月平均で「300〜350kwh程度」であり、余剰売電分は多くて「100kwh」でしかありませんので、上記で計算したとおり、電力預かりサービスなるものに4,000円支払ったら、この4,000W以下規模の売電システムでは「赤字」になります。

この点は、くれぐれも押さえておきたい重要ポイントとなります。

システムの分散と用意すべき蓄電バッテリー容量について

さて、大手電力会社の提供するというサービスの正体を知っていただいたと思いますので、ここから本題に入りたいと思います。

独立した自家消費型のソーラー蓄電システムの構築には、今現在(令和元年)法律の規制や制約が一切設けられておりませんので、誰もが自由にお持ちのソーラーパネルの直並列構成を変更して、お好きな容量の自家消費型のソーラー蓄電システムへの変更が可能となります。

※電力各社のホームページを見る限り、ソーラーパネルの増減について「軽微なシステム変更届出」のことが書かれていませんが、今後必要となる可能性もあります。

以下のページで解説しているとおり、家族構成、日中の在宅人数、お仕事の形態によって、1日の消費電力量は大きく異なりますが、当店【蓄電システム.com】では、みなさまの住環境、充放電環境を詳細にお尋ねした上で、ご要望に沿ったベストマッチのシステムへの変更を提案申し上げるようなサービスの提供を行います。

FIT(電力固定価格買取制度)の終了に伴うソーラー蓄電システムへの変更について

合理的な自家消費型ソーラー蓄電システムへの変更のポイント

システムの分散とは?

自家消費型のソーラー蓄電システム設計では、大規模1系統だけを用意することはまずありません。

なぜならば、夜間は人間誰しも就寝時間があり、照明器具はもちろんのこと、テレビやパソコンの電源はOFFにして就寝しますし、深夜に動作している電気機器といえば冷蔵庫くらい(季節によってはエアコン)で、ほかはわずかなアイドリング電力のみとなります。

そんな家屋全体の電力を1系統のシステムで供給する場合、蓄電側バッテリーの電気を一般的な電源コンセントから出てくる「AC100V」(交流100V)に変換する機器としてDC-ACインバーターを使用しますが、この機器を大型の製品にしなければならなくなります。

このDC-ACインバーターも電子機器である以上、自己消費電力が存在し、大型になればなるほどその消費電力は大きくなります。

DC-ACインバーターのイメージ画像です

2,000Wクラスのインバーターでは、「概ね60W程度」の無負荷時電流(アイドリング電流)がありますが、150Wクラスの製品では「数W程度」でしかありません。

したがって、夜間就寝中に使用するインバーターには、小容量製品を選ぶことが合理的な使用方法となるため、日中の消費電力量の多いときと夜間では、2台のインバーターを使い分けるか、もしくは夜間用としてもう1系統のシステムを用意すべきで、そのようなシステムの分散の考え方は、もし1系統で運用しているときに機器故障が発生した場合でも、難なく電力の供給が続けられます。

用意すべきバッテリー容量について

別のページでも解説しているとおり、家族構成や昼間不在など、各ご家庭における消費電力機器によってもそれぞれ異なります。

以下バッテリーは、当店で実際に販売しているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーですが、その蓄電理論容量は「2,048Wh」ですから、これ1台あれば100W消費電力を持つ液晶テレビだけで「20時間」のテレビ観賞が可能です。

この蓄電バッテリーは、当店【蓄電システム.com】では中国から輸入し、今年で7年販売を継続している信頼性高い製品で、最大6並列接続(約12.3kwh)ができますので、それぞれのご家庭の充放電環境に応じた蓄電バッテリー容量を6段階で選ぶことができるのです。

もちろん、自家消費型のソーラー蓄電システムの運用が初めての方で、「まずはお試しで」「予算少なく」とお考えであれば、以下安価な鉛バッテリーによるシステム構築も可能です。

但し、鉛バッテリーに関しましては、ソーラーパネルの容量に対する制約もあり、その寿命は一般的にリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの「10分の1以下」となりますので、有毒ガス(水素ガス)の発生もあり、電気音痴の方々がストレスなく使うには難がありますので、当店としましてはあまりお勧めできるものではありません。

いかがでしょうか?

仮に、今運用されている「1,000W程度」だけを自家消費型のソーラー蓄電システムへ変更する場合、あくまでも一般例ですが、最後に記載してこのページの解説を終わります。

計1,000Wシステムの分散例
○1系統目

※600Wソーラーパネル+リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(4,000Wh)+1,500W正弦波インバーター
(リビング用途として。昼間充電しながら最大1,500Wまでの放電が可能)

600Wソーラーパネル+リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(4,000Wh)+1,500W正弦波インバーターのイメージ写真です

○2系統目

※400Wソーラーパネル+リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(2,000Wh)+350W正弦波インバーター
(昼間の小容量機器連続放電用途として。また夜間の小型冷蔵庫や小型液晶テレビ、ノートパソコン等の電源として。就寝後のアイドリング電源として)

400Wソーラーパネル+リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(2,000Wh)+350W正弦波インバーターのイメージ写真です

もちろん、1系統の蓄電バッテリーへ2系統のインバーターを接続して使うこともできますので、やはりその点のシステム設計は、どこまでもみなさまの充放電環境によるということになります。

次のページでは、もっと具体的なシステムの分散例と、変更に必要な具体的な費用についても解説する予定です。

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