当ページでは、定格電圧が「51.2V」のリン酸鉄リチウムインバッテリーが、今後世界中の独立型のソーラー蓄電システムで「標準化」され、さらにソーラーパネル側においても、セル数が「132セル仕様」、最大動作電圧が「66V付近」となるようなシステムを提案するために、その理由を含めた解説及び、今後の業界の技術的な進化方向をにらんだ説明をしたいと考えております。
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- 51.2Vリン酸鉄リチウムバッテリー 使用のススメ
当店【蓄電システム.com】では、すでに15年近く前から、ソーラー蓄電システム用途に特化したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの輸入販売を開始していますが、延べ販売数は数万台にも及んでおり、内蔵されたBMS(バランス・マネジメント・システム)は、ソーラー蓄電システムだけでなく、小型ロボットや特注形状を持つ電化製品にも多く採用されており、ある意味「汎用リン酸鉄リチウムイオン組電池」として広く流通しています!
当店で販売する「O’cell」ブランドのリン酸鉄リチウムとの出会い
すでに「O’cell社」というブランド名をご存じの方も多いはずですが、当店【蓄電システム.com】との出会いは、まだO’cell社が無名メーカー時代の約16年前に遡ります。
当時の開発初期段階における電気自動車(EV)に搭載されていたバッテリーは、発熱や発火事故が相次ぎ、ようやく正式に採用された「三元系リチウムイオン電池」は、性能面における課題が解決せずに、結果として短命に終わりましたが、今(2025年)は当店で販売を続けてきた「リン酸鉄リチウムイオン電池」が主流となっており、その安全性を含めたほぼすべての問題は解消して、現在の流れは不動の地位を得ることになりました。
基本的に、O’cell社ではEV用途に搭載される大容量組電池は製造していないのですが、5,000Whクラスまでの組電池技術は世界中で群を抜いており、当店に輸入された製品については、輸送中の揺動、振動が原因である場合を除き、その故障不良率は「1,000台に1台あるかないか」という、それも当店の入荷時検査で見つかる程度しかありません。(※販売はされていないという意味です)
そんな不良率の低さは、O’cell社自らが製造工場を持ち、完成した単セル特性を揃える技術に裏打ちされていて、【蓄電システム.com】の実験場では、すでにサンプル入荷時の16年前から使っている51.2V定格の組電池は、いまだに現役で活躍しています!
すでに実証データからは「サイクル回数は5,000回」を超えて、現在の容量維持率は「80%超え」となっていますから、輸入当初のO’cell社自身による公称データは「2,000回以上」、そのときの容量維持率は「70%以上」となっていましたので、すでに公称値を大幅に超えた実証データが得られたことになります。
当店【蓄電システム.com】では、輸入初期段階で、中国にあるO’cell社製造工場へ見学に赴き、会社の経営者社長でもある「Dr.Lee氏」(李社長)に、広大な敷地にある工場を案内されて話を聞き、すでに付き合いは16年目になっています。
ソーラー蓄電システムに鉛蓄電池を適用するのは「もう古い」のか?
正直に申し上げて、「もう古い」と断言していいと思っています。古いというよりも、さまざまな性能面で、リン酸鉄リチウムイオン電池は「別種のもの」と考えてもいいのでしょう。
特殊なオーダーメイド製品を除き、みなさまがご存じの鉛蓄電池は「12.0V定格」(単セル電圧:2.0V×6直列)ですから、48Vバッテリーバンクとして利用するには、当然に4直列接続にしなくてはならず、バッテリー間に直列用ケーブルを使わなくてはなりません。
意外と知られていない事実ですが、本来鉛蓄電池(非密閉型、シールド型等を含む)は、運送業法で「危険物指定」されているバッテリーであり、資格を持った者でしか宅配することができません。(なぜか古い慣習でいまだに運搬されていますが違法です)
※リン酸鉄リチウムイオン電池は、危険物から除外されているだけでなく、航空便も使える安全なバッテリーです。
※密閉型(シールド型)と表現されていますが、わずかに水素ガスが放散されており、押し入れなどの通気性の悪い場所では、火元近づけると爆発する危険性すらあります。
すでに、たった1台で「51.2V」を得られるバッテリーが存在するようになった今、鉛蓄電池は価格面で優位であることから、自動車始動用のバッテリーとして搭載されてはいますが、これがリン酸鉄リチウムイオン電池に置き換わるのも時間の問題だけとなるでしょう。
ラッキーだった汎用チャージコントローラーとの相性問題
現在すでに、リン酸鉄リチウムインバッテリーを適正に充電することのできる、独自の設定ポジションを持っているチャージコントローラーは多くなりましたが、16年前当時は基本的に、鉛蓄電池を対象とした設定ポジションしかありませんでしたが、大変ラッキーだったことに、リン酸鉄リチウムイオン電池の充電電圧は、汎用チャージコントローラーの任意設定できる電圧範囲ギリギリにありました。(一部メーカー製品では使えないこともありましたが、メーカー側に要望して特別仕様製品を作らせた経験もあります)
仮に、リン酸鉄リチウムイオン電池の充電できるチャージコントローラーが、この世に1台も存在しなかったら、独立型のソーラー蓄電システムに採用されることもなく、今のEVメーカーに気づきを与えることもなく、もっとEVの野心的進化はなかったかも知れません。
内蔵BMSとチャージコントローラーとの相性問題の発生
いまだに解決できていないリン酸鉄リチウムイオン組電池が、まだ多く流通しているように見えていますが、当店【蓄電システム.com】が輸入を開始した当初においても、チャージコントローラーアルゴリズムと、リン酸鉄リチウムイオン蓄電池に標準として搭載されているBMS制御アルゴリズムとの間の相性問題に悩まされました。
その相性問題とは「過電圧発生問題」と呼んでおり、詳細は企業秘密なので割愛しますが、ソーラー充放電中にあり得ない高電圧をチャージコントローラーが出力してしまい、接続機器側のインバーターの過電圧保護遮断によって、AC出力を行わなくなるという現象です。
もちろん、当店では尚早に問題を解決するべく、リン酸鉄リチウムイン電池側に搭載されているBMS制御基板の回路変更、一部のアルゴリズム変更を行い解決することになりましたが、いまだにこの相性問題を解決できていない製品も多くあると報告を受けています。
EVに搭載されているリン酸鉄リチウムイオン電池との違いについて
当店【蓄電システム.com】で輸入販売しているリン酸鉄リチウム電池と、多くEVに採用されているリン酸鉄リチウム電池は、基本的にその種類も製造工程も同じですが、冒頭の「当店で販売する「O’cell」ブランドのリン酸鉄リチウムとの出会い」でも若干触れましたが、単セル電池の特性(実容量、電圧、内部抵抗値など)を、いかに整合させて揃えた上で組電池として仕上げることができているか、この点が大きな違いとなっています!
最近のEVに搭載されているバッテリー電圧は「600V〜800V」と言われているとおり、3.2Vの単セル電圧であれば、1直列系統が「200〜250セル」という膨大な数となりますで、これを一定程度分割して制御したとしても、数多くの制御系統を持たなくてはならず、仮に200セル以上の「たった1セル」の故障があったとしても、並列系統との電圧バランスを損なうことになってしまいます。
すなわち、EVでは前記した単セル電池の特性を一定程度しか揃えることができず、それを補うために「深放電を避ける」ことになりますが、これを意味するのは単セル電圧の持っている理論容量を、大きく減らして実容量を得ているということなのです。
当店で販売しているO’cell社製のリン酸鉄リチウムイオン組電池では、理論容量どおりに実容量を得ることができていますが、これこそが単セル電池性能の優秀さに加えて、セル特性を揃える技術に裏打ちされた真のバッテリー製造技術であり、「深放電のできる」信頼性の高い組電池と言えるのです。
ちなみに、既存のEVに搭載されたリン酸鉄リチウムイオン電池の最大放電深度の設定は「約65%〜70%程度」と言われていますが、当店で販売しているO’cell製品の最大放電深度は「90%超え」となります。
51.2Vリン酸鉄リチウムバッテリー 使用のススメ
この項が、最後にして最大の目的となる本項となりますが、ここまで書いてきたように、EVに搭載されているリン酸鉄リチウムイオン電池と、ソーラー蓄電システムの運用を快適に行うたのの蓄電池の考え方は、ある意味大きく異なる訳ですが、それはコスト面においても無暗に使用セル数を増やさないためであり、最大でも1台「5,000Wh」(EVでは「平均60kWh」と10倍以上)の小容量製品であること違いということになります。
現在(令和7年4月)、当店で販売している「定格51.2V組電池」の最小容量は、13.2Ahですから「675Wh」となり、その重量は「5.9kg」でしかありません。
仮に、同じ容量を12V定格の鉛バッテリーで構築したとすると「4直列」としなければならないため、169Wh(すなわち14Ah×4直列)となり、この4台構成でようやく「672Wh」と同等の容量になります。
1台で675Whの容量を持つだけでなく、リン酸鉄リチウムイオン電池の最大充放電許容値は、内蔵BMS基板によって「1C=675Wまで」と制御されていますが、本来の実力は「3C」まであり、たった5.9sのバッテリー1台で、ラクラク700Wまでの充放電環境を作ることができます。
ところが、4台直列構成の14Ah鉛バッテリーでは、バッテリー同士の直列接続ケーブルが必要になるだけでなく、最大充放電許容値は「最大でも0.15C」が限界となってしまいますので「最大100Wまで」となり、4直列合計のバッテリー重量も17kgになります。
そして、サイクル寿命との比較をすると、リン酸鉄リチウムイン電池が「5,000回以上」、そのときの容量維持率は「70%以上」ですが、鉛バッテリーですと「上手に使って500回が限界」となり、そのときの容量維持率は「ほぼ10%以下」と廃棄するしかありません。
昨今、その価格差についても、実際のメンテナンス頻度(すなわち交換)を考えるとき、すでに「リン酸鉄リチウムイン電池の方が安価」となっていますので、こんな優秀な蓄電池を使わない手はないということなのです。
51.2Vリン酸鉄リチウムバッテリー「標準化」とする意義について
極論を申し上げると、よほどの事情がない限り、現在当店で販売している「12.8V系」および「25.6V系」のリン酸鉄リチウムイオン電池すら「もう不要」ということなのです。
「よほどの事情」とは、接続相手となる電気機器が、どうしてもDC12Vでしか動作しないとか、またはDC24Vでなくてはならないということを指していますが、リン酸鉄リチウムイオン電池の定格電圧は、ご存じのように「12.8V」「25.6V」ですが、それぞれ満充電直後の電圧は14.6V、29.2Vとなりますので、正確に12V、24Vが動作電圧である場合には、DC-DCコンバーター等で降圧、昇圧しなければなりません。
もちろん、ソーラーチャージコントローラーの負荷出力端子から、12V、24Vキッチリの安定した電圧を取得することはできませんので、やはりこのときもDC-DCコンバーターで降圧と昇圧を同時にできる機器を挿入する必要があります。
また、前項で紹介した当店【蓄電システム.com】で扱う51.2V定格製品では、最小容量が「675Wh」ですので、常時数mA、数十mAしか放電しない電気機器(監視カメラや鳥獣対策用の電気柵電源など)を接続するケースで、12.8V定格の小容量リン酸鉄リチウムイオン電圧をソーラーパネルと組合せるときには、12.8Vが最適電圧となりますが、やはり25.6V定格製品は無用であると思っています。
※AIロボットで24V駆動系モーターを使うことが多いようですが、これも遠くない将来51.2V系の方へ集約されるはずです。
51.2Vリン酸鉄リチウムイオンバッテリーバンクにするメリット
もう、ここまで説明する必要はないと思いますが、以下そのメリットを列記してみますので、ぜひ今後のシステム構築の検討にお役立てくださると幸いです。
- たった1台の軽量バッテリーで、家庭用のシステムとしては必要にして十分な、ソーラーパネル容量、放電容量を同時に得ることができる。
- バッテリー電圧を51.2Vとすることによって、配線材に流れる電流値を小さくできるため、その配線材の引き回し利便性、柔軟性が大きく向上する。
- ソーラーパネルを増設しても、48V入力系のインバーターをすでに用意しているので、システム電圧を上げる必要がなくなり、機材の追加や買い替えを必要としない。
- 鉛バッテリーと比較して、サイクル寿命が「10倍以上」と長くなるため、バッテリー交換やメンテナンス時間に要するコストだけでなく、人的な費用コストも大幅に下げることが可能となる。
- リン酸鉄リチウムイオン電池は、発熱することもなく、発火して火災の原因となる危険性も一切ないため、バッテリーの設置場所の制約がないばかりか、特に鉛蓄電池では「水素ガス」を発生させるため、安全面では圧倒的に有利である。
当店オリジナル「132セル仕様」ソーラーパネルを用意している理由
当店のオリジナルソーラーパネルの一部には「132セル仕様」(動作電圧「66V」)という特殊な製品を用意してあります。
現在、75W、100W、160Wの3種類を販売していますが、これは51.2V定格リン酸鉄リチウムインバッテリーを「安価なPWM制御コントローラーを使って充電するため」に、当店の指定工場で製造している、世界中を見回してもかなり稀有なパネルとなります。
ご存じのように、当店で販売しているO’cell製の51.2V定格リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの満充電までに必要な電圧は「58.4V」ですが、チャージコントローラーでは、最大時のアブソーブ充電ステージにおいて、最大「59.2V」までの充電を試みますので、曇り空で若干の出力電圧が下がった場合に備えての「66V」の用意ということになります。
現在主流の「MPPTチャージコントローラー」を使えば、もちろん満充電までに必要な電圧を、段階的に最適な電圧まで「損失少なく」降圧してくれますが、当店では51.2Vリン酸鉄リチウムに「絞った」「最安値」で充電するために用意した、まさしく画期的なセル数を使っているソーラーパネルになります。
こんな特殊なソーラーパネルの用意も、当店が「51.2Vバッテリー標準化」を周知していくための提案であります。
今後、ご要望があれば、現在の最小容量製品(13.2Ah)よりも、さらに小さい容量製品も販売することも検討していますので、ぜひ一度相談いただけますようお願いいたします。
形状の変更(体積は変更不可)、特殊なケーブル、コネクターを製造過程で取り付けてのご注文も承っています。
よろしくお願いいたします!
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